光差すセカイ
セカイを見る時は、いつも伸びた前髪のスキマから。何かの、誰かの後ろから。
このセカイは僕に優しくなかったけど、それでも。
セカイを見たい知りたいという好奇心は抑えられなかったんだ。
差し伸べられた手だってそう。取らなきゃって、思ったんだ。
好奇心は猫を殺す
安心安全な生活とは良いものだ。
ただしちょっぴり物足りない。
だから静は自分を拾ってくれた春無を真似てみた。
中身は絶対見せてくれないが彼は何かを紙に書き綴っている。それも、たくさん。
それが記録か空想の物語かは知らないが。静が選んだのは記録だった。
ただその日の天気を記録する、それだけだった。
積み上げたその記録を何度も読み返さなければ、気づかないままでいられたかもしれない。またはふと浮かび上がった疑問を疑問のままにしておけばよかったのかもしれない。
天気の順番が数年ごとに1周していること。
それを大発見だと思い春無に告げた時、言ってはいけないことを言ってしまったと静は理解した。
彼はその時すごいなって、確かに笑ってくれていたはずなのに。
□□□セカイの作り方
今思えばあれは罠だったと静はあの日を思い返す。
記録を止め、天気への話題を避け、そうして日々を過ごしていた少年の前をはらりと舞った1枚の紙。それに導かれた先にあったのは春無が綴った大量の記録。あるいは物語。
どれを読んでも行きつく先は灰色、あるいは赤色の、セカイの行方。
僕たちは箱庭存続の為の紙の上の人物。
必要ならば幸せに、必要ならば不幸せに。
ただそれだけのこと。
旅立
箱庭草子は【春無しの化け物】が去って完成する。
綺麗なこの箱庭を、綺麗なまま残したかったからとその手を真っ黒にした猫はもういない。
あれから何度も綺麗な花を、海を、雪を見た。心地よい風を浴びた。
安心安全の生活は良いものだ。
ただしちょっぴり物足りない。
姉2人がそれぞれくれたカメラとヘアピン、龍がくれたお守り、それと自分で撮ったたくさんの写真。今度の記録は天気ではない。彼が愛していたこの箱庭の美しい風景と皆の姿を写した記録だ。
見送りに来てくれた龍は言った。その場所にたどり着いた時、春無が静を覚えているとは限らないし、静も春無を覚えているとは限らない。そもそも物語の外へ出た存在がきちんと形を保っているのかも分からないと。
それでも自分が望んだ旅だ。
さあこの箱庭を出て貴方に会いに行こう。それがもう二度と引き返せない旅だとしても。
貴方がいなくなった後の箱庭も美しかったのだと、伝えたいから。
- 名前
- 静
- 年齢
- 見た目13ぐらい
- 性別
- 男性
- 一人称
- ぼく
- 身長
- 141㎝
- 好きなもの
- カレー・何かを記録すること
「貴方が見ているのは、数多あるぼくたちの物語のひとつだ」
子の役。
何かとメタ発言が多い不思議な少年。
梅と美咲と一緒に住んでいる。
一時期春無にべったりだったが、ある時期を境にその関係性は変わってしまった。
