神を絶つ
神様は我々をここに閉じ込めた!
自分たちをこんな小さな島に追いやったヒトビトを消してしまおうと考えた十二支と、それに反対した神様の戦い。
負けた十二支たちは更に小さな場所へと追いやられた。神様も無傷ではなく、多くの力を失った。
敗北を、ヒトビトを許すことが出来なかった老いた龍は、自身の憎悪をそのまま幼い龍へ。
それを知らぬまま狭い檻で育った若き龍は訳もわからぬまま、ある日姿を現した新たな神を手にかけてしまう。弱った神は彼の敵ではなかった。だが結界は今日も破れぬまま。
何故彼女たちが憎いかもわからないし、何故彼女たちが律儀にここへやってくるのかもわからない。
幾度か繰り返された頃、また新たに現れた神様。
彼女を一目見て、それから――龍は動かない。
身に覚えのない憎悪と同じくらい得体の知れない強い感情が心を巡る。龍は恋に落ちてしまった。
とある彼の記録
……壊れてしまったのは龍の方ではないのか?
元からだろう、そんなのは。
自分のことなど大した話題ではない、と合わない視線が言外に語る。庭の花に水をやる手も止まらない。
愛する神様を誰にも見せたくなくなって、どこにも行って欲しくなくて、自分ひとりのものだけにしたかったから食べてしまったんだ。
そう語る彼の本心は分からない。
ただそれが本当ならば。
自分が食べられなかったと言うことは、愛されていないということではないか?
愛の対象
頭の中で声がする。自分のものでも、彼女のものでもない。
あまりの煩わしさに先ほどまで使っていた布団と、ついでに畳を切り裂いてしまった。明日彼にはどう言い訳するべきか、と龍は思考を出来る限り声の外側へ移すよう努めた。
この箱庭のすべてを愛してほしいと声がする。
そうあるように生まれてきた神様をその身に取り込んだのだから当然のことだった。貴女はずっとこの声と共に在ったのか、と問いかけるも返事はない。
彼女を連れて、ここを捨てて、どこか遠くへ行きたかった。全てを愛するには、この箱庭のすべては美しくない。
「外」に居場所などないと聡い龍は理解していたが、今だけはこんな場所よりも「外」の方がいいと思えた。
それでも彼女はこの箱庭と共に在ると拒むから。一緒に暗い海の底へ沈むしかなかったのだ。
「……おれには貴女の愛が分からないよ」
声は暗闇の中に吸い込まれて消える。
- 名前
- 神迎 たつみ
- 年齢
- ????
- 性別
- 男性
- 好きなもの
- 家族・十二支の皆・甘いもの
しんごう たつみ。辰の役。
十二支最年長にしてこの島の実質的なリーダー。寿命も強さも桁外れ。
面倒見は良いが、彼の持つ愛情はどこか歪。彼らが自身から離れることを嫌う。
神様自体は嫌いだが妻の万里愛は最愛のヒト。
