なぞのひと
学生証に細工をし、授業もろくに出ていない、かといって学園を辞める気もない。無害ではあるが間違いなく問題児。
それが学園内でのレキオ・シャーロット・ルーベルという人物だった。
そんな人物がある日突然真面目に授業に現れた。
教室にいたことなど数えるほどしかなかったその人物が、期待の新入生ウラカの世話をしている。
その光景に誰もが驚いた。だが2ヶ月もするとそれもなくなる。
代わりにウラカが半分寝ているレキオの手を引きながら授業へと向かい、やっぱり寝ている彼(彼女?)の隣でノートを取り、終鈴が鳴ると半ば呆れながら起こしている姿を見かけることになるのだった。
穏やかな日常の終わり
「来月からウラカを学園に通わせようと思っている」
何を考えているのかよくわからないカルヴァがレキオを呼び出す時は決まってとんでもないことを言い出す時だ、とレキオは知っている。
レキオは彼のことが苦手だった。付き合いは長いしこの先も途切れることはないだろうが相性は悪い。向こうも同じことを思っているだろうが。
「早すぎやしないか」
「俺だってそう思う。でももう動き出したみたいだ」
カルヴァの考えていることは昔から読めないが、感情そのものは案外わかりやすい。あまり気が進まないというのはよく伝わった。
「幸い、すぐ異常が現れるというわけじゃない。だから早めに通わせて、楽しいことも経験してもらえれば、と」
「俺は何を?護衛と学園生活のサポートか?」
「大体そんな感じだ。あとは地下の状態の報告を」
「了解。お前も俺に指図するなんて偉くなったよな」
「君がいつまでも変わってないだけだ。あと、俺はウラカとの学園生活は君にも意味があると思っている」
何もかも見透かしたような物言いは昔からで可愛げがない。だから苦手なのだ。
それはそれとして、退屈な生活が変わろうとしている。帰りの足取りは与えられた使命の重さの割には、軽い。
相部屋
一人暮らしをしているレキオに一緒に寮生活をしよう!と言ったのはウラカだ。その笑顔はいつも以上に輝いている。
レキオはウラカに非常に甘いので彼女の言うことは大体叶えてあげたい。あげたいが、これはまずいのではなかろうか。
とりあえずウラカをいったん座らせ落ち着かせ、こんな性別不明です!他も大体不明です!
みたいな怪しい人物と寮で同室なんてやめましょう、色々危ないよ、と丁寧に言い聞かせた。
これでは自分がウラカに対して非常に危ない人物みたいになってしまったとレキオは思ったが、客観的に見たら事実なので仕方がない。
「でもレキオじゃないとこんなこと言わないし……」
そのように言われてしまっては勝てるはずがなかった。そういうことも、あまり言わないようにねと何とか伝えながらもいったん兄に相談してみたらと提案した。
何故かカルヴァの許しは出た。出さないでほしかった。護衛の効率がいいと判断したのだろう。ただ向こうも渋々といった感じで注意事項が長ったらしく添えられていた。相変わらず生意気だが今回は当然なので仕方ない。
そのまま1番広くて何をするにも互いの寝室を横切らずに済む完璧な間取りの部屋を貰い(費用はカルヴァが出すと言っていた)、ウラカお望みの寮生活がスタートした。
最初はもっとミステリアスにスマートで少々距離感のある護衛役キャラを演じていたかったはずなのだがいつの間にか振り回されている。
こういうところが彼女にも兄にも似ているなあとレキオはパルドブロム家の血の濃さを改めて感じた。
しあわせの魔法
学園の地下、最深部。
そこには何もかも、自身の名さえも忘れた魔女が一人。
そんな彼女が自分のことを覚えているわけもなく。
私は彼女の友にはなれなかった。それでも、今からでも、彼女の為に手を伸ばせるだろうか。
- 名前
- レキオ・シャーロット・ルーベル
- 年齢
- 16(?)
- 身長
- 161cm
性別不明、出自も不明、学年どころか実年齢もあやしい魔法剣士。
性別は日によって本当に違うようだ。
自称ウラカのファン。何かとウラカの面倒を見てくれるが真意は謎。
魔法や戦闘は得意だが、私生活は壊滅的。お世話しているようでされていることも。
適正魔法道具がレイピアかつ意外と気が短いため、戦闘の際はやや物理攻撃に走りがち。
