休日の朝

いつもより30分早く目覚めた朝、寝坊助さんなルームメイトを気遣って小さく開けたカーテン。窓から差し込む日差しは快晴を告げる。休日にふさわしい天気だ。
静かにベッドから降りて一応、ルームメイトにそっと声をかけるが手応えのある返事はない。いつものようにこのまま寝かせておこうとウラカは決めた。
朝食は食堂に行けば誰かと取れるだろうと簡単な身支度をしながら彼女は考える。
この早い時間帯で出会えるのは大抵、夜更かしを終える前のリナリアかそれと同じような生活リズムをしたシエル、召喚獣たちにエサをねだられ起こされたまま二度寝に失敗したクリスだ。
もし誰もいなければ持ち帰ってこの部屋でのんびり食べるのもいい。そういう風に何度か過ごして聞けたルームメイトの寝言語録の数は入学から3ヶ月で20個になろうとしており、これはウラカ一人だけの秘密だった。

穏やかな日常の終わり

「来月から学園に通ってくれ。寮生活になるから荷物の整理をしておくように」
静かな兄がいつもよりさらに静かな時は決まってとんでもないことを言い出す時だ、とウラカは知っている。
今回はウラカの生活をまるっと変えてしまうような発言だった。朝食が始まって最初の会話にしては内容が重い。
兄妹には広い屋敷に、2人の優しいお手伝いさん。定期的にやってくる兄の友人(その友人自身はライバルと言い張っている)。
ウラカの主な世界は今のところそれだけで完成されていた。それなのに来月から学校?寮? 唐突な情報に混乱するウラカへ、兄カルヴァは更に情報を追加する。
「学園の地下におばあちゃんが残した大魔法が眠っているらしい。その調査も頼みたい」
おばあちゃんの大魔法。
兄妹が敬愛する祖母ラディはこの世界で唯一の、名誉ある大魔女だった。 大魔女だった、というのはある日突然姿を消してその後の行方が分からないまま長年が過ぎたからである。
「まあこれは噂程度だから程々でいいとして……友人を作って勉強するのが当然だが1番の目的だ。大魔女になりたいのだろう?」
兄のまっすぐな視線に自然とウラカの背筋がのびる。
先ほどまで思いついていたすべての不安を忘れ、ウラカは頷いた。
漠然とした憧れを少しずつ形にする時が来たのだ。
祖母のように偉大な大魔女になる。そうすればこの世界のどこかにいるであろうおばあちゃんも自分に会いに来てくれるかもしれない、とウラカは思った。

学園の地下

学園の地下はトラップあり、モンスターありの危険な場所だった。 立ち入り禁止の扉を抜け、地下深くへ続く長い道のり。
放課後友人と集まっては攻略の計画を練り、少しずつ踏破していく。 毎日の集まって一緒に行動することを怪しまれないように同好会も作り上げた。
祖母へ近づく為の地下攻略はウラカにとって大事なものだったが、友人らと集まって他愛ない話や食事、試験勉強をする時間も同じくらい大切なものになっている。
そして顧問になってくれた先生は恐らく、地下での行動を知っていて見逃してくれている。その真意は分からないが、祖母の手がかりを諦めたくなかったのでウラカはその好意に甘えることにした。
このまま楽しい学園生活が続いて地下でおばあちゃんの手がかりを見つけて大魔女にもなれたのなら。 あまりにも出来すぎた未来を思い描けるぐらいには、多少の危険が伴えどウラカにとって楽しい日々が続いたのだ。

しあわせの魔法

学園の地下、最深部。
そこには何もかも、自身の名さえも忘れた魔女が一人。

かつての大魔女が残した大魔法、星落としの魔法。
すべてを無にし、すべてをしあわせにする、そんな魔法。

名前
ウラカ・パルドブロム
年齢
11
身長
140cm

実技は首席入学の期待の天才少女。ただし筆記は壊滅的。

実際試験日は運がよかっただけで、膨大な魔力に制御技術が追いついておらず実力は不安定。
基礎魔法すら危ういかと思えば並の魔法使いには使えない魔法を使えたりもする。

祖母のような偉大な大魔女を目指し今日も学園生活を満喫中。