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育ての親が殉職したのはシルクが16の頃。優しい人だった。
同じように警官になったことに特別な理由はない。
だが喪うものがもう己以外にない。最悪養父と同じ道を辿ったとしても、と内心思ったことは誰にも言っていない。
ある田舎街への配属で比較的穏やかな日々が過ぎ、大切な人に出会い、このまま人生が終わってくれればという願いが彼の中に芽生えた頃。
大事な恋人はある日突然姿を消した。シルクも、彼女の義弟も置いて。

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恋人が姿を消して早数ヶ月。彼女の弟は旅を、シルクは己の職権をこっそり利用してそれぞれ彼女の行方を調べていた。
深夜の暗い職場のデスクで、シルクは書類を眺めながらペンを回す。気分転換に淹れたはずのコーヒーはまだ一口も飲んでいない。
ステラグレイ南方研究所の調査志願票。
先日自分の部署に回ってきた話だ。基本的なメンバーは決まっているが希望者もいれば、とのこと。
彼女の弟とシルク自身の調査内容をまとめると、彼女の行き先はそこへたどり着く。
つい2週間前まで詳しい情報を掴むこともそこへ向かうことも許されなかった。それなのに今こんなにもあっさりとその道が開かれている。
あまりにも分かりやすい、見えている罠だ。シルクは思う。
だから彼女の弟をそこへ先に向かわせるわけにはいかない。彼はまだ少年だ。警官の立場からもシルク個人の立場からも自分よりまっすぐで綺麗なあの瞳を曇らせるわけにはいかなかった。
それならば自分が行こう。それで最悪どうなっても彼女とその弟が無事ならいいかと彼は決心した。 もし自分に何かあったら、彼女は怒るだろうな。
そう思いながらもシルクは改めて書類の内容確認を始める。
だが怒るのははこちらだって同じなのだ。彼女はきっとシルクや義弟を思って黙って消えた。詳しい理由が分からなくてもそれだけは分かる。
書類の確認を終えシルクは記入作業へと移った。

(同じ立場なら俺だってきっとそうすると思ったからアイツはいなくなったんだ。……それなら似た者同士でお似合いじゃないか)

サインを終えたシルクは冷めきったコーヒーを飲み干した。

名前
シルク
好き
恋人とその弟・狼(仕事用ジャケットに勝手に狼モチーフのロゴを入れて怒られた)
悩み
恋人と職場が同じなので基本休みが被らない。
年齢
25歳
身長
180㎝
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