ページ31

これはまだ魔物として覚醒していない頃の記憶。
魔物である自分を側に置いて面倒を見てくれた人間との記憶。
名を、生活の場をくれた唯一の人。
その人との穏やかな日々はある日突然消え去った。
魔物である自分といることで人々に気味悪がられた人間がどうなるかなんて、あの頃の純粋だった魔物は知らなかったのだ。
彼は人間に壊されてしまった。それならば。
「じゃあ僕も壊したっていいよね」
魔物は嗤った。

ページ88

数百年ぶりに再会した人間は自動人形になっていた。あの時死んだのだからそれもそうだろう。
名前もリコリスではなくマグヌスだと名乗った。体を作った者が与えた名らしい。
マグヌスはメイアンのことを覚えていなかった。
俯くメイアンに心配したマグヌスは手を伸ばすがそれは強い力で払われた。
「お前が僕の名前を呼ぶな!」
確かにあの頃と同じ顔、同じ声なのに、何もかもが違う。

ページ150

【物語】が書き換えられたその後の【物語】。
人形はこの物語の外側へと行くのだろう。自分はそこには行けない。
しばらくしたら自分の欠片を持ったあの子を迎えに行って、命尽きるまで面倒を見たそのあとは、どうしよう。
やることはもうないし、なんだか疲れたし、眠ってしまおうか。悪夢にうなされる終わりも、悪くない。
ただ優しい人形は別れ際に。
「良い夢を」
そう言ってくれた気がする。

特記事項
一部有償図書につき対価無しの持ち出しを禁ずる。
名前
メイアン
好き
他者をからかうこと・自然
嫌い
本物のフリをした偽物
年齢
不明・数百年程度
身長
164㎝
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